楼門(八女市伝統的建造物)


 

お寺には必ず「門」があります。

仏法の教えでは私たちの生きている世界を世間道〔せけんどう〕といいます。

有情世間〔うじょうせけん〕、衆生世間〔しゅじょうせけん〕と教えられますが、生きている限り人間は欲望から離れる事が困難です。

しかし、どこかで欲望ばかりの人生で終わりたくないと誰もが感じておられることでしょう。

命の深いところでは欲から離れられないからこそ世間を超えた、仏の御教え〔みおしえ〕、仏の願いに出遇いたいという深い願望を皆もっていると説かれています。

そこで世間を超えた仏の世界(出世間道)〔しゅっせけんどう〕として、すべての人々の帰依処〔きえしょ〕、拠り処〔よりどころ〕としてお寺が建立されました。

その時に世間道と世俗を離れた清らかな世界として、出世間道〔しゅっせけんどう〕との結界〔けっかい〕として「門」が建立されました。

結界〔けっかい〕を境として入門する・門下生・門人・登竜門・宗門・専門・部門・仏門・同門等々のことばが生まれました。

 

親鸞聖人の教えを宗(むね)とする宗派、これに所属する者を門徒といいますが この「門」もここから出ています。どこのお寺にも必ず「門」があるのは、このような深い意味と願いがこめられています。

 

西勝寺の「門」は、特に「楼門」になっており、明治の始めに建立され、八女市の伝統的建造物に指定されています。